KNOWLEDGE K2@WEB相談室
『スクリーンリーダー対応はアクセシビリティの“見えないUX”を支える設計』について紹介
『スクリーンリーダー対応はアクセシビリティの“見えないUX”を支える設計』について紹介
(2025.6.2)
私たちは「人」を中心にしたクリエイティブを企業アイデンティティとし、WEBアクセシビリティ対応をご支援しています。すべての人にとって心地よく使えるWEBサービスを目指し、豊かなユーザー体験でビジネスの可能性を広げ、誰もがつながる未来を創造します。
スクリーンリーダーとは、画面上の情報を音声で読み上げる支援技術です。HTMLに記述された『見出し』や『リンク』、『ボタン』、『テキスト』などの情報を音声で伝えることで、視覚に頼らずWebサイトの内容を把握できるように設計されています。スクリーンリーダーは特定のユーザーに向けた特別な機能ではなく、すべてのユーザーにとって利便性を高める機能なのです。
『スクリーンリーダー=全盲の方向けの支援機能』と思われがちですが、実際には多様な利用者が存在します。弱視や白内障など視覚に制限のある方、高齢者、さらには一時的に画面を見られない状況(通勤中や育児・作業中など)でも利用されることがあります。このように開発チームは、ユーザーのあらゆる利用シーンを考慮してWebサイトを設計することが大切です。
スクリーンリーダー対応とは、単に音声で内容を伝える技術ではなく、『見えない環境でのUX』を設計することにほかなりません。視覚に依存しない情報設計を行うことで、ユーザーは『聴いて使う』という別の手段でコンテンツにアクセスできます。この視点を取り入れることは、結果的にあらゆるユーザーにとっての使いやすさにもつながります。
ただ画像にalt属性をつければ良い、という考えは誤解です。もちろん情報を補足する画像には適切な代替テキストが必要ですが、装飾目的の画像に冗長なaltを付けると、かえってユーザーを混乱させるので空のalt(alt="")を入れるようにします。
CSSで見た目を整えていても、HTML側に『意味づけ』がされていないケースは少なくありません。例えば、すべての見出しが『DIV』で記述されていたり、見た目はリスト項目なのに『UL』や『LI』が使われていない場合、スクリーンリーダーはどこが区切りで、何が重要な情報かを判断できません。こうした『構造のないHTML』は、支援技術を利用するユーザーには“情報の羅列”でしか聞こえず、内容を正しく把握するのが難しくなります。
スクリーンリーダーはDOMの順序で情報をたどるため、HTMLの記述順(DOM構造)が視覚の配置と一致していない場合、読み上げ順が情報発信者の意図と異なる流れになる場合があります。そのため表示上は意味の通るデザインであっても、音声で聴くとユーザーは混乱し情報得るのが困難になります。
スクリーンリーダー対応は『技術を足す』のではなく、『構造を正しく整える』ことが基本です。特別な仕組みを用意しなくても、HTMLの基本ルールと使い方を押さえるだけで、多くの読み上げトラブルを防ぐことができます。見た目とコードの両方から伝わる設計を心がけましょう。
スクリーンリーダー対応の最も基本的な確認方法は、実際に支援技術を使ってみることです。Windowsであれば『NVDA』、Macであれば『VoiceOver』などを使い、読み上げ順や伝わり方を確認します。意図した通りに情報が伝わるか、予想外の読み上げが発生していないかを耳で確かめることが重要です。
スクリーンリーダーを使用するユーザーの多くは、マウスではなくキーボード操作を主に使います。そのため、タブキーやエンターキーだけでページ内を移動・操作できるかを確認することが欠かせません。マウスに限定したUIが残っていないか、読み上げ順やフォーカスの流れが適切かを丁寧に確認しましょう。
見た目では問題なく表示されていても、読み上げ時に伝わらないUI要素は意外と多くあります。たとえば、エラーメッセージやモーダル表示のような動的要素は、フォーカス制御やaria属性の設定が不十分だと読み飛ばされることがあります。視覚と聴覚、両方のアプローチで体験のギャップを確認していくことが大切です。
スクリーンリーダー対応は、コーディングだけで完結するものではありません。見出しの構成やラベルの文言、テキストの順序など、設計やコンテンツ制作の段階から配慮が必要です。デザイナーやライターも含めたチーム全体で、視覚以外の伝え方を意識することが、アクセシビリティ実装の質を左右します。
スクリーンリーダー対応は、後から追加するのではなく情報設計の段階で考慮するのが理想です。構造や読み上げ順が初期段階で整理されていれば、実装時の負担も減ります。設計に『音声で使う視点』を組み込むことが、プロジェクト全体の完成度を高める鍵となります。
スクリーンリーダー対応は、特別な技術ではなく、Web設計の中にあらかじめ組み込むべき基本要素です。視覚に頼らず情報が伝わる設計は、誰か一人のためではなく、結果としてすべてのユーザーにとって使いやすいWebにつながります。『見えないけれど、確かに使える』。その価値を設計段階から支えることが、アクセシビリティ実践の第一歩です。
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