色覚多様性に配慮したWEBデザインの基本知識

(2025.4.1)

色覚多様性に配慮したWEBデザインの基本知識

色覚多様性に配慮したWEBデザインの基本知識:目次

全ての色は『赤・青・緑』の3色を組み合わせることで表現できることは広く知られていますが、人間の目の機能も同じく、三色を感じ取り、色を脳に伝えています。しかし色の見え方は人それぞれ異なります。例えば、赤と緑、青と紫の区別が難しい人もいます。そのため、色だけに頼った情報伝達(デザインなど)は、すべての人に正しく伝わるとは限りません。では、どうすればいいのでしょうか?その答えは、『色以外の手法を取り入れる』です。アイコンを配置する、グラフを掲載する場合はテキストを併用するなどし、十分なコントラストを確保するなど情報伝達のための工夫をすることが重要です。

色覚多様性とは

色覚の種類

人の目には錐体と呼ばれる光を認識する3種類の視細胞があり、それぞれの錐体が赤・青・緑の光を感知し色を識別しています。(まれに4種類目の錐体(四色型色覚)を持つ人もいると言われています。)

人の色覚タイプは大きく5種類分けることができます。一般的なのが3種類の錐体が揃っているC型で、その他に 「P型(1型色覚)」「D型(2型色覚)」「T型(3型色覚)」 などに分類されます。P型やD型の人は、特定の色の区別が難しい場合があり、T型の人はさらに色の認識が限られます。

色覚多様性を持つ人の割合

色覚多様性を持つ人は、男性の約8%、女性の約0.5%と言われています。色覚に多様性のある人の多くは遺伝的要因によるもので、特にX染色体に関連した遺伝子の変異に起因するものです。男性はX染色体が1本しかないため色覚の異常が発現しやすい一方、女性はX染色体が2本あるため、色覚の異常が表れにくい傾向にあります。

一般的な見え方の違い

色覚に多様性のある人たちは、『赤と緑の区別が難しい』『青と紫が似て見える』など、日常的な色の認識に影響を受けることがあります。例えば、信号機の赤と緑を区別できなかったり、生鮮食品の状態が見分けにくかったりします。また、色だけに頼った地図やグラフでは、提供されている情報が理解しにくいこともあります。こうした違いを理解して、色だけでなくアイコンやテキストを併用することで、情報を公平かつ正確に伝え、より多くの人たちにとって使いやすいデザインとなります。

WEBデザインにおける配慮ポイント

色に頼らないデザイン
形状やアイコン

チェックをしているイメージ

色に頼らないデザインを構築していくうえで図版の形状やアイコンはとても重要です。例えば、チェックマークやバツ印などのシンプルなアイコンで成功やエラーを示すことができます。色が見分けにくい人でも、形状の違いで情報を識別できるため、視覚的な補助として非常に有効です。また、ボタンやリンクなどのインタラクティブな要素にもアイコンを併用することで、視覚的な認識が容易になり誰にとっても使いやすいデザインに繋がります。

線グラフのポイントの形を丸や四角と違いを付けて情報をくべつするイメージ

グラフでは、色だけでなく形状やスタイルを使ってデータを区別できます。例えば、棒グラフでは異なるデータセットを実線、破線、点線で区別したり、折れ線グラフでは丸や四角、三角のマーカーを使ったりする方法です。これにより、色が識別できなくても、データの違いが視覚的に認識でき、誰にとっても情報が伝わりやすくなります。

テキストとラベル

色覚に配慮したデザインでは、色だけに頼らず、テキストやラベルで補足情報を提供することが重要です。これにより、色を識別しづらい人にも情報が正確に伝わります。特に、視覚的に色を使って情報を伝える場合は、テキストやラベルを併用することで、全てのユーザーにとって理解しやすくなります。

棒グラフにラベルを付けて色以外に情報を区別させるイメージ

グラフでは、異なるデータを色で区別するのが一般的ですが、色覚に配慮して色と同じ情報をテキストでも表示することが推奨されます。例えば、「赤」や「青」といった色名だけでなく、「2019年」「2020年」などのラベルを追加することで、色を識別できない場合でもデータの違いが明確に理解できます。

フォームにおいてエラーチェックで色だけで情報を伝えていないイメージ

フォームやボタンでエラーメッセージを示す場合は、色だけでなく「入力内容に誤りがあります」などの説明を追加します。これにより、色の判別が難しい人でもエラーを正確に把握することができます。

もちろん色だけでなく、異なるパターンやテクスチャを使用して区別をつけることも有効です。例えば、グラフの異なるデータセットを色だけでなく、縞模様やドット模様で区別したりするなどです。

適切なコントラスト比(WCAGの基準)

視覚的なコンテンツを全てのユーザーにとって見やすくするためには、テキストと背景色の間に十分なコントラスト比を確保することが重要です。特に、色覚に多様性があるユーザーや視力に問題のあるユーザーは、コントラストが不十分だと情報を正確に得ることが難しくなります。

  • 標準:4.5:1
  • 大きな字:3:1

この基準を守ることで、視覚的に弱い人々にも情報が伝わりやすくなり、アクセシブルなWEBサイトを作ることができます。コントラスト比をチェックするツールも数多くありますので、デザイン時にはこうしたツールを活用して、必要なコントラストが確保されているか確認しましょう。

詳細な達成基準に関してはW3Cの日本語版に掲載されているので、是非こちらもご覧ください。

参考:W3C コントラスト (最低限):達成基準 1.4.3 を理解する

色の組み合わせに注意

色覚に配慮したデザインをする際には、注意が必要な色の組み合わせがあります。次にあげる色の組み合わせは、色覚に多様性がある人にとって識別が難しい場合があります。

赤と緑

赤と緑を組み合わせた色覚多様性の方に視認しずらい画像

赤と緑は、色覚多様性がある人にとって最も識別しにくい色の組み合わせの一つで、グラフなどに採用すると誤解を招く恐れがあります。

青と紫

青と紫を組み合わせた色覚多様性の方にイメージ

青紫は青と赤を混ぜた色であるため、青と紫を区別するのが難しい人もいます。特に薄い紫や暗い紫は青と同じように見えることがあります。

黄色と白

黄色と白を組み合わせた視認しずらい画像

黄色と白は、明るい背景色においてコントラストが不足することがあります。特に視力が弱い人や高齢者にとって違いが分かりづらいので、重要な情報が見逃されることがあります。

赤と青

赤と青を組み合わせた視認しずらい画像

青色弱や赤緑色弱の人たちにとって、青と赤が似て見え、情報の識別に支障をきたすことがあります。そのため、アイコンやテキストラベルなど色以外の視覚的な補助がです。

オレンジ

オレンジイメージ視認しずらい画像

オレンジ色は、赤と黄色が混ざった色なので、オレンジを使用する際は十分なコントラストを確保し、視覚的な補助としてアイコンやテキストも併用することが重要です。

具体的な実践方法

カラーツールの活用

カラーツールを活用することで、色覚多様性に配慮したデザインを作ることができます。カラーシミュレーションツールを使って異なる色覚の見え方を確認し、適切なコントラストや配色を選びましょう。

Color Tester

Color Tester 利用イメージ画像(キャプチャー)

カラーツールのキャプチャー画像はデスクトップツールのColor Testerです。

参考:Color Tester

デザイン作業前の配色設計
デザイン作業前に読みやすく、識別しやすい色の組み合わせを選定するツール
ツール 料金 提供形態 概要
Adobe Color 無料 オンラインツール 色の組み合わせを確認したり、カラースキームを細かく調整したいときや、色相環を使って配色してカラーパレットを作ることができます。
Coolors 無料(有料版あり) オンラインツール、ブラウザ拡張機能、モバイルアプリ 迅速に色の組み合わせを決定したい場合や、直感的に色パレットを生成したい場合に便利な自動でカラーパレットを生成するツールです。
Material Design Color Tool 無料 オンラインツール UX/UIデザインにおいて、GoogleのMaterial Designのガイドラインに従った色のカラーパレットを作りたいときに役立ちます。
WCAG基準で配色のコントラスト確認
色の組み合わせが適切なコントラスト比を満たしているかチェックするツール
ツール 料金 提供形態 概要
WebAIM Contrast Checker 無料 オンラインツール コントラスト比を簡単にチェックできるツールで、WCAG基準に基づいて色の適合度を確認できます。色を入力するだけで、判定結果がすぐに表示されます。
Color Tester 無料 デスクトップアプリ 色覚異常をシミュレーションできるツール。色の組み合わせが色覚異常のある人にも見やすいか確認でき、色の視認性を改善するのに役立ちます。
Contrast Ratio 無料 オンラインツール シンプルで使いやすいコントラスト比チェックツール。色を入力すると、リアルタイムでコントラスト比を計算し、基準を満たしているか確認できます。
色覚多様性のシミュレーション
色覚多様性のある人がどのように見えるかをシミュレーションして適切な配色を選ぶツール
ツール 料金 提供形態 概要
Color Oracle 無料 デスクトップアプリ デスクトップで作業する際に、リアルタイムでシミュレーションことができます。画面全体をシミュレートできるため、詳細な色覚異常の確認ができます。
Coblis – Color Blindness Simulator 無料 オンラインツール オンライン上に画像をアップロードして画像単位でシミュレーションができるため、デザインのビジュアル確認をするのに便利です。
公開前の最終的な全体チェック
WEBサイトのデザインやUIがアクセシビリティ基準を満たしているかを最終確認する必須のツール
ツール 料金 提供形態 概要
axe DevTools 無料(有料版あり) ブラウザ拡張機能、デスクトップアプリ 開発者向けで、特にリアルタイムでの修正作業に適しています。技術的なレポートと修正方法を提示してくれるのでコードレベルでの確認ができます。
WAVE Web Accessibility Evaluation Tool 無料 オンラインツール、ブラウザ拡張機能 ビジュアル的なフィードバックが得られ、非開発者やデザイナーが直感的に確認するのに適しています。サイト全体の色・コントラスト・ラベルなどの評価ができます。
Google Lighthouse 無料 ブラウザ拡張機能 アクセシビリティチェックだけでなく、ウェブサイトの全体的なパフォーマンスも評価します。サイト全体の健全性を総合的にチェックしたい場合に便利です。
CSSでできる工夫
十分なコントラストの確保

background-colorやcolorプロパティを使い、テキストと背景のコントラスト比を意識的に調整したり、color-contrastやmix-blend-modeなどを活用して視認性を高める工夫を行います。

アイコンやテキストの利用

border, box-shadow, background-imageなどを使って形状で情報を補足します。例えば、エラーメッセージを色だけでなく、アイコンやテキストのラベルを追加します。

色の組み合わせの考慮

色覚多様性に配慮し、色をうまく組み合わせるためにrgbaやhslaの透明度を調整した配色や、配色ルールをカスタマイズします。

フォントやテキストの設定

テキストのフォントサイズや行間、文字の間隔を調整して読みやすさを向上させるため、font-size, line-height, letter-spacingなどを駆使して、視覚的な快適さを確保します。

色分けだけに頼らないデザイン

色だけに頼らず、テキストやアイコン、線の太さ、パターンで情報を伝えるデザインにします。例えば、ステータスを色とともにパターンや形、文字を組み合わせたりします。

フォーカスインジケーターの強調

フォームやインタラクティブな要素において、フォーカス時にoutlineやbox-shadowを使い目立つスタイルを設定します。これにより、色覚異常があるユーザーにもわかりやすくなります。

色覚多様性に配慮したWEBデザインの基本知識のまとめ

色覚多様性に配慮したWEBデザインは、すべてのユーザーにとって快適で分かりやすい体験を提供するために重要です。この記事では、色覚の種類や見え方の違いを理解し、それに対応するためのデザインの工夫を紹介しました。

デザインのポイント
  • 色覚の種類 を理解し、多様な見え方を考慮する。
  • 色に頼らない情報設計(アイコン・パターン・ラベルなど)を取り入れる。
  • 配色の工夫(コントラストを意識する、色の組み合わせに配慮する)。
  • ツールを活用 してデザインをチェックし、実際の見え方を検証する。

このような配慮を取り入れることで、より多くの人が快適に利用できるWEBサイトを実現できます。ユーザーの視点に立ち、アクセシブルなデザインを心がけましょう。

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